ツーリング覚書

ほんと1年ぶり近くになる。長野の阿智村へ。夜中のうちに家を出て、5時に到着。道中は高速オンリーだったのもあって、凍結やら恐れていた路面状態は一切なし。ロープウェイに乗って山頂へ向かう。かなり怖い。後ろからは日の出が迫っていて、紺色に山が影をなしていてとてもきれい。長めのロープウェイを抜けてさらにリフトに揺られる。これも怖い。むき出しなだけにこっちのほうが危機感がある。リフトを降りるとコーヒー売り場がある。コンソメスープを買って展望台へ。徒歩3分未満。皆さんお揃いでなんか微妙。あたり一面靄かかっていて、雲海がウリの展望台でも見えるのか不思議に思う。うろうろしていると見晴台の案内が。徒歩1時間。はっきり言ってここで待つより上を目指したい。舗装路をてくてく歩く。いきなり下りで面食らってしまう。クマ出没注意の看板にも不安をあおられる。だんだん上りになってきてひとまず安心。気が付くとあたりの木に白いものが。雪ではない。樹氷だ。去年の11月に赤城さんに行った時にも樹氷が見られたけれど、あれは山頂だけだったからあまり近くに行けなかった。今は普通にすぐ近くに見える。まだ半ばというのに。パシャパシャと写真を撮る。この頃になると日が昇ってきていて、だけど靄のせいで柔らかく照らされている。朝焼けで色がついて、樹氷が薄桃色に染まっている。まるで桜が咲いたよう。冬の入り口だというのに花見気分で歩いていく。

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樹氷が朝焼けに染まっている

てくてく歩く。すごく楽しい。1台車とすれ違う。この先はどこにつながった道だろうか。ともあれ人がいたってことで一安心する。ようやく見晴台入り口の山道を見つける。そこそこの勾配。地面にも霜柱。すべて樹氷が付いているわけではなくって、風向きとかいろいろあるんだろうけれど、それが何やら楽しい。険しいところは特になく、少し歩いただけで尾根に出た。風に押されるせいなのか木の形が横に伸びている。今は霜につかれてとても寒々しい。一面霜に覆われた薄い色彩の中頂上へ。樹氷の森を見下ろし一番高いところゆえの爽快感に浸る。誰かの帽子が凍り付いていてなんだかよい。尾根沿いに生えている木々をひたすら撮る。近づいたり遠くから見たり、レンズもフル回転。しばらくして気が付いた。雲が切れてる!

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前は青空、後ろは金色

アルプスに挟まれた長野の街が見えている。雲海と樹氷と青空ときれいなものだけが揃った景色は寒さも忘れる心地よさ。背後からは日が昇り、靄を金色に染めていて、その場をくるりと回るだけで全く別の顔を見ることができる。この景色を見ることができただけで来た価値があった。しかも誰も来ないものだから独り占めである。誰に遠慮することもなくはしゃぎまわる。心洗われる景色を堪能していたら寒さが追い付いてきた。また雲が現れ始めたこともあって下山することとした。帰り道では日差しが樹氷を温めたせいで剥がれて、きらきら舞っていてそれは心弾む景色があった。くっきりと影が映るおかげで遠くまでよく見える。山の影が青いグラデーションをなしていてすごく素敵。展望台まで戻ると誰もいない。リフトを降りて施設を軽く見まわしたけど、スタッフの人以外に誰もいない。みんな展望台できれいな雲海を観れたのかしら。ぐわんぐわんと怖い音のするロープウェイを降りてバイクにまたがる。ここはまた来たいものだ。次は夏にでも。星を撮りたいな。

 次は田立の滝へ。勧められたものだから行ってみたけど、道中が落ち葉やら狭い道やらで恐る恐るアクセルを開ける。駐車場には何台か停まっていてちょっと心強い。ここでも熊注意。時期的に怪しいんじゃないかな。ともあれ杖代わりの木の棒を借りて入山。落ち葉枯葉にまだ緑な草木を踏みしめ登る。沢はほんとにきれいな水が流れている。飲めるんじゃないかと思うくらい。いろんなタイプの足場に恐れを抱きつつもひたすら上る。はっきり言って完全冬仕様のバイク乗りが行う運動量ではない。すごく汗かいた。でも気持ちがいい。ずっと乗りっぱなしだった分いい運動。らせんの滝と天河の滝。どちらも素晴らしい。もう少し近づきたかったけど、猛烈に岩がすべる。カメラも降格を持っていないしで、適当な岩に転がって見物。

天河の滝

マイナスイオンなんて胡散臭いものだけど、そんなのどうとでもなるほどの圧倒的な癒し力。夏に来たら気持ちいいだろうな。下山。さすがに帰りは楽だな。しこたまぶつけた膝のことは忘れるものとする。

下山したのち温泉へ。アララギ温泉。アルカリ性温泉大好き。ゆっくり疲れを癒して温まる。この温泉家の近くに会ったらいいなと思いつつ湯を出てごはん。そば。そばはかけそば、蕎麦湯にて。うむ。塩尻まででて一泊。

次の日も当然寒い。むろん晴れであるが。路面が怖いのは変わりないし、むしろ時間的に一番怖いんじゃないかな。喫茶店で時間をつぶす。モーニングを優雅に。道の駅を冷かしたりお土産を買って、韮崎まで。韮崎旭温泉がいいんだ…。ほんとにいい。炭酸泉ですから。人工ではないぞ。てんねーん。しかも弱アルカリ。源泉が飲める。これはいかない理由が何一つ見当たらない。最高だな。最高だった。今までの温泉歴でも最上位に入るな。好き。

帰り道は高速使ってだけれど、例によって渋滞気味。大変である。なんやかんやで17時過ぎに帰宅してツーリング終了。股間の筋肉が痛いし腰が痛いし手が痛い。でも気分は最高である。やっぱりバイクっていいわぁ…。まあ見返すとそのあたり全然書いてないけど。

どうでもいいが、17時に荷物が来ていた。10分早ければ受け取れたのに!最後だけどうでもいい敗北感で終わり。