グレイテストショーマン

を観てきた。冒頭から引き込まれる。ていうか足を鳴らす音が素敵すぎる。みんな歌うまいし、サントラがこの時点でほしくなる。主人公とヒロインって感じの話がテキパキ進む。屋上で跳ね回るシーンがとても素敵。主人公の強烈な出世欲というか下剋上志向に不安があった。絶対大きな失敗するやつ。でも意外といい感じに進む。正直博物館がボロボロになるか、船舶証明書でやらかすのかと思っていた。

子供たちの言葉から一気に物語が動く。小人にひげ女、巨人と入れ墨男、バラエティ豊かな面子が揃って初めての公演。戸惑いから解放の描写がとても滑らか。充実感を得る感覚を共有する。ところどころに不穏なシーンもあるけどわりとスルー。新聞記者の辛辣な記事にもピリピリしながら対応。理性で抑えている感があってよい。個人的に劇作家との交渉シーンがとても好き。客観的に言ってペテン師みたいな主人公だけど。酒を滑らせ帽子を回す。タイミングもばっちりなバーテンダー。儲けのレートすり合わせのところが特に気に入っている。

なんやかんやで女王に面会。というか女王の笑い声が怖いわ。そこであったオペラ歌手を口説く。色恋的ではなく。というか、本物を見せたいなんて殺し文句すぎると思った。そして公演。実際とんでもないなって。今まで色物を扱ってきて、工夫しながら成功を収めていた主人公が初めて本物を見たんだよな。引き込まれる姿が迫真すぎる。これならって思っちゃったんだろうな。パーティからつまはじきの団員の表情がつらい。でも既に自分を持っているんだよな。私が行くぞって華やかなダンス会場や大通りを堂々と進む。本物に目がくらんだ主人公をよそに劇作家が空中ブランコ乗りとロマンス。登場人物みんな歌が気持ちいーんだこれが。んでオペラ歌手の誘惑と。ここでようやく主人公が正気に戻る。というかなんか憑き物が落ちた感じ。オペラ歌手のアピールに何を思ったんだろうな。オペラ歌手の感情が乗った歌も素晴らしい。でもキスはやりすぎと思います。しかしここからが受難の始まりというか。初めに思っていたよりも挫折は後半だったな。

サーカスが火事になるわけだが、駆け付けた主人公に団員はほっとしたんじゃないかな。一番いてほしいようなときにいてくれたのが。すぐに団員の心配を始めたり、思わず飛び込んだ劇作家を助けに行くところとか、どんなにないがしろにされても慕っちゃうよな。無一文だし家族にスキャンダルばれるしどん底。バーで一人飲む。初めに小人、すぐにみんなが集まってくる。あんたが家族をくれたってわけだ。長々と成功を続けて挫折した主人公がようやく何のために頑張っていたかを思い出す。何にもないけど大黒柱がやる気を出した、だから後は大丈夫だって思うんだな。踊るし歌うし朝までパーティである。さすがに主人公は嫁と娘を迎えに行く。初めて心通わせた海辺へ迎えに行く。何を求めていたか、何を求めるべきだったのかをここでようやく知る。

金はないしどうすんだというところで劇作家がにやりと笑う。パートナーだ。団員はみんな知ってたように見えた。それがなんだかとてもいい。

最後のショーはサーカスで。そして子育ての始まり。まあ子育てってよりは家族サービスな気もするけど。グレイトなのでお迎えもでかいぞ。ラストのダンスシーンで観客席に双子の片割れがいないと思ったらお前木かよっていうオチ。大好き。

 

速攻でサントラをぽちって入荷待ちでズーンとしている俺だ。まさにエンターテインメントという感想。物語の起伏はかなり大きいはずなのに、それを跳ね返していくから暗さがほとんどない。普通なら見捨てられたと思うシーンでもそれまでに培った自分があるおかげで悲壮感が薄れている。物語の積み重ねで暗さを耐え抜くだけの芯があるって観てる人はわかるから、つらくても奮い立つ行進に気持ちが震えるんだよな。そして重ね重ねいうが、歌がほんとによかった。劇中で気持ちを伝えたり緊迫した交渉を表したり、いたるところで歌いだすんだがそれがまたいいんだ。映画見た人の大半はサントラ欲しくなるんじゃないかな。んでそれだけの価値がある。むしろブルーレイも欲しいもの。とにかく丁寧に作られていて登場人物が骨太。おもわず二回目に行きたくなる素敵な映画だった。