ガッジョディーロ

初めてのフランス映画。フランスだったかな?ともあれジプシーをテーマにした作品とのこと。例によってなんとなく面白そうという感覚で選んだので、細かい知識は鑑賞後に調べたくらい。まあ表層部分だけだけれども。

ストーリーは主人公がジプシーたちの村に歌姫を探しに来て、そこでジプシーたちと触れ合う中で自分の居場所を確認していく、みたいな。とりあえず冒頭からもう歩かないぞ!と吹かす主人公になんかうれしくなる。酔っぱらった老人に酒をたらふく飲まされてジプシーたちの集落に入る。起きたらなんかみんな見てくるし、鶏泥棒だなんだと言い始める村人もいて、排他的な印象。そこで老人が登場し、主人公が一泊の礼を渡す。老人はやけ酒に付き合ってくれた主人公を自分の友人といい、みんなに紹介する。この老人、主人公のことを何度も何度もパリから来た友人だと自慢する。今みたいになんでも携帯でつながるような時代ではないから、人とのつながりがそのまま地位につながるのかなって思った。とにかくこの老人はなんというか破天荒である。歌姫を探す主人公に、言葉も通じてないのにそうだそうだと安請け合いするわ、出ていこうとする主人公に泣き落としするわ、挙句にヒロイン相手にやらせてくれと迫る。これは正直ビビった。そりゃヒロインもマジかよってなる。おかげでなのか主人公とヒロインが晴れて結ばれるわけだが、普通にセックスシーン出てくる。裸で追いかけっこしたりする。序盤で体をふくシーンでおっぱい丸出しだったけど、本当に普通にやってるから困る。主人公は何とも気のいい青年で、いつもにこやかに笑っているもんだから、ヒロインが気を許すのも分かるのだけれど。それはさておき、終盤に入るとガラッと雰囲気が変わる。ジプシーってのに対しての認識がかなり甘い状態で見たのだが、少数民族で迫害されているように描かれている。老人の息子も無実の罪で収容されていたり、老人のパリ観が我らを差別しない自由の国って認識だったりする。主人公がイチャイチャしている間に村にやってくる男。俺を突き出した全員に酒をおごってやるぜと。むろん村人たちは怒る。この村人はジプシーではない人たち。当然揉める。揉めた挙句集団ヒステリーである。やらかしといて逃げ出した男はジプシーの集落にある一軒家に隠れるが、見つかって家ごと火をかけられる。逃げ惑うジプシーたち。このシーンはなんだかつらい。だが先がある。主人公たちが戻ると集落は焼け野原。柱だけが残った家。ヒロインの泣き叫ぶ姿が迫真すぎて怖いくらい。特に見つけてしまった後は。シーンが飛んで、車を走らせる主人公。舗装もされていないような道を走る。ふと車を止める。道端に腰掛けられる程度の岩。歌姫を探してロマの人々の歌をテープに録音してきた。父親の形見であるテープを手に取る。そして砕く。岩に押さえつけて石を叩きつける。全部だ。テープを引っ張り出し、穴を掘り、埋める。ヒロインは後部座席で目を覚まし、それを見ている。

正直最後のシーン、主人公が何を思ったのかよくわかっていない。なんか色々浮かんだりするけど、よくわからない。せっかく撮ったのにもったいないなとか思っている。でも風景によく合っている寂しい映像で素敵に思う。

この映画、主人公とヒロイン以外はすべてジプシーたちだって外のサイトで見た。マジか。なんか普通にしているから気が付かんかった。老人とか素で映ってんのかと。まあさすがにそこは脚本ですよね。ともあれ、フランス映画の難解さってやつに触れたような気がしている。ぐるぐるしてきて不安になったから、仮面ライダーWを見る。すごくすっきり。