億男感想

最近はバイクに乗れないせいで感想ばかり書いている気がするな。悲しい。ともあれ億男を観てきたので感想。こんな辺境に来る人間が早々いるとは思わないのけれど、内容を知りたくない人はブラウザバック推奨(昔はこの表現よく見たよな)

俺の個人的な意見だけど、物語は成長した何かがあるのか。それが見た人間に残るのかが良い悪いの境界線だと思っている。お金に押しつぶされた主人公が最後に買ったもの。これはいい映画。

なんて書いときながら結構きついこと書いていたりもするな。まあ感想垂れ流しだから仕方ないな。

何にも情報を入れずに見に行ったのに、始まる前の宣伝で億男流れるという。まあいい、本編である。いきなり金に翻弄される主人公。初めはいかにもここになじんでいませんって顔しているくせに、ちょっと乗せられると完全にアホになる。ちょっと靴はコップにはならないんじゃねぇかな。乗りに乗って前後不覚な主人公から離れ親友がお金を持ち逃げ。ぶっちゃけこの時点まで騒ぎまくりのこの家が誰の家なのかとか全く分からなかったので何が何やら。起きたらだれもいないしお金もない。ここでようやくそんな感じの話なのかなと思いいたる。まあ違ったんですけどね。

冒頭でスマホを取り上げて傍若無人なことをいう女性に連絡を取って親友を追うわけだ。女性から親友の交友関係を伝っていくんだが、これが曲者ぞろい。主人公は観客に近い視点として、それに金持ちの理論を叩きつけてくる。お金とは何か。それを各々の立場から語っていく。はっきり言ってまったく共感できない内容だけど、それも当然で。特に親友の元秘書はやばいな。お金に囲まれていないと落ち着かないってそれこじらせてるよね。まあそういうこともあるのかなと。ここで少し残念だったのが、傍若無人な女性が完全にここで切れるんだよね。一人目を案内した後に別れてそれっきり。なんか登場からあくの強い感じだったし、億男って言葉を使うのもこの人だったから、割と重要人物なのかなって思っていた。まあ出てこないよね。なんか使い方が荒い感じ。まあそこ入れると揉めそうだし、第一主人公についてくる理由もないのはわかるけれども。それはそれとして、主人公の行動自体に疑問符がやたらとつくのが難だったなと。3億当たった時点で混乱するのはわかるけど、一番つらい部分をなぜに解消しないのか。朝から晩までダブルワークして、かわいい嫁と娘とも離れて頑張っているわけで、借金が辛いって言ってるのに解決しない。お金って何なんだろうとかふわっとした疑問を優先してしまう。はっきり言って、ここがしっくりこないせいでこの後の話が全部茶番というか、馬鹿じゃないのって気持ちになる。そりゃ話としては終わるからってその通りだけど、ふわふわとした話しかしないので主人公に共感できない。一番の目標があって、それを解決したいって心から願うなら取るべき手段はそうじゃないよねって。だって盗まれた時点で警察呼べよって思っちゃう。最後まで見れば親友を疑えないって、親友を信じていたってわかるんだけど、ずっとうじうじした煮え切らない態度しているせいでそれが読み取れない。単純に大事にしたくなかったのかなって、事なかれ主義でもやっているのかなって。

ロッコまで行くだけあって回想には力が入っていたように思う。親友がのちに立ち上げる会社の原型が生まれた瞬間ってのが描かれていて、それを聞いた主人公が親友へ本音を語る。このシーンがとてもいい。実は一億稼いでいて起業しますって、俺バカみたいじゃんって。安いところ探してバス使って移動してさ。普通にお前は何でもできたじゃんって。これが本当に本音なんだろうなって。親友が全部出したらついてきたのって聞いたら、そりゃそうだけどさぁって。主人公のすげぇなって言葉が出てくるところがとてもいい。それだけに摩耗した現在の主人公が悲しい。砂漠でただ一人への高座、いつまでも残るんだろうなって。

いろんな人から親友のことを聞いて、お金についての見方を聞いて、疲れて乗った電車で親友が現れる。ここもとても好きだ。空いてる席に金の入ったバッグを置いて、自分も隣に座る。一グラムも変わってないよって。主人公を通してお金の意味を見ていたと。回想でお金が何なのか知りたいと言っていた親友がずっと頭に残っていたのかな。だからお金の使い方を知っていると確信して親友に会いに行ったと。理由はつながってすっきり。借金を返さずに行ったのはさっぱり。別れ方もさっぱり。劇中で繰り返し出てくる芝浜を引用して夢にならないようにと。ぶっちゃけ親友から主人公へのハグシーンや何やらのせいで疑惑が沸いてしまうのが困る。一番濃い形の友情で、そこに強く残った芝浜、本当に主人公を想うのだなと。

娘が自分からねだったバレーをやめさせようとした主人公。娘が欲しがって、でも遠慮していた自転車を買った主人公。冒頭でふわふわしていた主人公がつかんだ何か。きっと悪いことにはならないだろうという予感が締めくくりとなった。自転車を運んでいる主人公の顔がとてもいいなって思った。だからこれはいい映画だな!